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No.190「【有期労働者は解雇しやすい?】事業主と労働者の権利と義務」について

〜とよひらの社労士通信No.190〜【有期労働者は解雇しやすい?】事業主と労働者の権利と義務」について

週末、甥っ子の運転する車に乗り、

来年は、お酒が飲めるらしく、自身の年齢を実感している

社労士法人とよひら 鎌田です。

今回は、

「【有期労働者は解雇しやすい?】事業主と労働者の権利と義務」

について、お話しさせていただきます。

【有期労働者の解雇は正社員より難しい】

「有期雇用」は「正社員」よりも、解雇しやすいと誤解される場合があるようですが、

結論から申し上げますと、

「有期労働者」は、正社員(無期労働者)より、解雇(途中解約)するのが難しいです。

これは、双方に契約期間内は契約を履行する義務があるためです。

このため、有期労働者も同様に、正社員より法令上は「途中退職しにくい」ということになります。

具体的に、法令を見ていきたいと思います。

【正社員・無期雇用者の解約について】

雇用契約については、民法が前提となり、特別法として労働契約法が適用されます。

<民法 第627条>

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

と定められており、2週間前に双方から解約を申入れできることになっています。

では、事業主も2週間前に申入れすれば、解約(解雇)できるかというと・・・

<労働契約法 第16条>

(解雇)

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

と定められているため、「社会通念上相当」でない場合は、解雇権の濫用とされ無効となります。

労働者からは自己都合退職ができるのに、事業主が簡単に解雇できないのは、このような理由となっています。

 

【有期雇用者の途中解約について】

では、有期雇用の場合はどうでしょうか。

こちらも民法が前提となり、特別法として労働契約法が適用されます。

<民法 第628条>

(やむを得ない事由による雇用の解除)

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

となっているため、「やむを得ない事由」がない限りは、双方が解除できない定めとなっています。

さらに特別法の「労働契約法」においては、「解雇」について同様の記載があります。

<労働契約法 第17条第1項>

(契約期間中の解雇等)

使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

この「やむを得ない理由」は、無期雇用者の「社会通念上相当」の解雇よりも、厳しい基準であると考えられます。

 

一方で、労働者には、労働基準法附則の定めがあり、

<労働基準法附則 第137条> ※ 一部省略

期間の定めのある労働契約を締結した労働者は、(省略)民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

厳しかったはずの「有期雇用の解除」ですが、1年経過後は労働者はいつでも退職できます。

事業主にとっては、首を傾げてしまう部分があるかもしれませんが、以上を前提として、雇用管理をしていただければ幸いです。

 

【有期契約満了時の更新と雇止めについて】

有期労働者の「途中解約」について、お話すると、

気になるのが、「有期契約満了時」の対応かと思いますが・・・

こちらについては、

労働契約法 第19条(有期労働契約の更新等)>により、「雇止め法理」が法定化されています。

ただ、こちらは、これだけでかなりのボリュームになるので、またの機会にお話できればと思います。

 

No.190〜「【有期労働者は解雇しやすい?】事業主と労働者の権利と義務」について

ということで・・・

今回は、「【有期労働者は解雇しやすい?】事業主と労働者の権利と義務」について、お話しました。

民法の規定では、双方平等ですが、特別法(労働契約法など)によって、解雇権の濫用等がされないように定められています。

皆様におかれましては、法律の隅を確認しなくても良いように、明確な雇用条件を提示しつつ、従業員と円満な関係を維持していただければ幸いです。

引き続き、よろしくお願い致します。
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発行責任者:社会保険労務士法人とよひら
担当:特定社労士・中小企業診断士 鎌田 真行
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