No.238「【1か月単位の変形労働制と変形休日制】について」
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~とよひらの社労士通信No.238~「【1か月単位の変形労働制と変形休日制】について」
中小企業診断士の同期が社労士試験に合格したらしいので、
合格を祝いつつ、今後の展望を聞こうと思っていますが、
単に飲みに誘う口実かもしれない
社労士法人とよひら 鎌田です。
今回は、昨日、顧客先で研修を行った
「【1か月単位の変形労働制と変形休日制】について」のお話しをしたいと思います。
【1か月単位の変形労働制とは】
労働時間の柔軟な設定方法として「変形労働時間制」という仕組みがありますが、中小企業でよく活用されているのが「1か月単位の変形労働時間制」です。
通常、労働基準法では「1日8時間・週40時間」が労働時間の上限とされています。
※ 特例措置対象事業場は週44時間
しかし、日ごとに繁閑が異なる場合は、忙しい時に人手が足りず、逆に落ち着いた時期には人が余ってしまう、ということが起こりがちです。
そこで役立つのが「1か月単位の変形労働制」です。
これは、1か月を平均すれば「週40時間以内」に収まるように労働時間を調整できる制度です。
たとえば、ある週は46時間働いても、その翌週を34時間に抑えることで、平均すれば40時間となり、法定労働時間を超えない、という考え方です。
ただし、この制度を導入するには「就業規則への記載」または「労使協定の締結」が必要です。
就業規則等への記載がないと、違法な長時間労働とみなされてしまう可能性がありますので、制度としてしっかり整備することが大切です。
【シフトの決め方と割増賃金】
1か月単位の変形労働制を導入する場合、シフトの決め方に注意が必要です。
労働者が「いつ、何時間働くのか」を「事前に」明示することが求められます。
あらかじめ1か月分の勤務割(シフト表)を作成し、従業員に周知します。
想定されるシフトについては、就業規則等に網羅的に記載しておきましょう。
また、割増賃金の考え方にも注意が必要です。
日単位、週単位、月単位で割増賃金が生じていないかを確認する必要があります。
具体的には以下の厚労省資料にパターン分けで説明が記載されているので、参考にしていただければ幸いです。
参考:厚生労働省「1か月単位の変形労働時間制」リーフレット P3割増賃金
【変形休日制との併用】
「変形労働制」とは別に「変形休日制」というものがあります。
「労基法第35条:使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。」
と定められていますが、
「労基法第35条第2項:前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。」
と第2項で記載されており、
「4週で4日休みがあれば、週1日休みがなくてもいい」ことになります。
この場合、就業規則等に変形期間の起算日を定めておくことが必要です。
具体的には「第1週は休みなし、第2週に2日、第3週に1日、第4週に1日」というような運用が可能になります。
勤務時間との関係上、1か月単位の変形労働時間制と併用されることも多くあります。
No.238〜「【1か月単位の変形労働制と変形休日制】について」 まとめ
ということで・・・
今回は、「【1か月単位の変形労働制と変形休日制】について」、ご案内しました。
柔軟な対応ができる変形労働制、変形休日制ですが、正しく理解しないで運用すると、気づかずに法令違反となっているケースもあります。
導入の際には、就業規則等への記載や制度運用について、十分に理解いただいたうえで、対応いただければ幸いです。
不明点がございましたら、ご連絡いただければ幸いです。
引き続き、よろしくお願い致します。
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発行責任者:社会保険労務士法人とよひら
担当:特定社労士・中小企業診断士 鎌田 真行
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