No.133「【労働時間?】自宅待機や手待ち時間の賃金について」
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〜とよひらの社労士通信No.133〜【労働時間?】自宅待機や手待ち時間の賃金について
※ このブログ記事は、メルマガで配信したものを一部変更し、掲載しています。
いきなり気温が変わり、衣替えが間に合っていません。
社会保険労務士法人とよひら 鎌田です。
今回は、
「【労働時間?】自宅待機や手待ち時間の賃金について」
について、お話したいと思います。
【自宅待機や手待ち時間に賃金が発生するのか】
・賃金が発生するのかは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれており、労働契約上の労務の提供が義務づけられていれば、労基法上の労働時間に該当する
とされています。
・しかし、形式的には労務提供の義務付けがあったとしても、業務重視の必要性が皆無に等しい場合は、労働時間でないと考えられる場合もあります。
具体的に、自宅待機等が労働時間に該当するかは、上記のような観点からどの程度、拘束されていたかなどで判断されていることになります。
【実際の判例について】
では、実際の裁判の結果はどのようになっているでしょうか。
「公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会」のHPに判例が掲載されていますので、
いくつかピックアップしてみます。
※ 簡易に記載していますので、詳細を確認したい場合は、リンク先をご覧ください。
<判例1:大星ビル管理事件>
・ビル管理会社の従業員が、仮眠室に待機し、警報が鳴るとすぐに業務開始、
泊り勤務手当は支給されていたが、時間外及び深夜割増が支払われていなかった。
→ 本件仮眠時間は、労働契約に基づき、仮眠室での待機や即時の業務開始が義務付けられており、労働者は使用者の指揮命令下にあると考えられ、割増賃金支払の対象となる。
<判例2:大道工業事件>
・ガス配管工事会社従業員が、シフト中の不活動時間について、時間外の割増賃金を求めた。
休憩時間中は呼び出しに応じる必要があったが、私服で自由に行動できる状況であった。
→ 不活動時間は、外出について特段の規制はなく、手待ち時間というよりも「呼出待機」と考えられ、労働時間に当たらない。
<判例3:奈良県(医師時間外手当)事件>
・産婦人科医らが、宿日直勤務及び宅直勤務に伴う割増賃金の支払を求めた。
→ 宿日直勤務の割増賃金支払は認めたが、オンコール対応については労働時間と認めない。
その他、オンコールを労働時間と認める新たな判例も出てきているので、一概には判断できない点には留意が必要です。
判断基準は以下の厚労省資料も参考にしてください。
オンコールでは、
・呼び出しの頻度がどの程度か、
・呼び出された場合にどの程度、迅速に病院に到着することが義務付けられているか、
・呼び出しに備えて、オンコール待機中の活動がどの程度制限されているか、
等を踏まえ、個別具体的に判断される。
まとめ No.133「【労働時間?】自宅待機や手待ち時間の賃金について」
ということで・・・
今回は、「【労働時間?】自宅待機や手待ち時間の賃金について」、お話しました。
裁判でも争われており、一審とそれ以降で判決が異なる場合もあり、
なかなか、判断は難しい内容となります。
事業主としては、同様の懸念がありましたら、一般的な判例の概要を考慮し、法令順守しつつ、労使が納得できる待遇で合意点を模索していただければと思います。
労働判例に御興味があれば、書籍「最新重要判例200労働法」等が、網羅的で参考になると思いますので、書店で探してみてください。
不明点がございましたら、ご連絡ください。
引き続き、よろしくお願い致します。
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発行責任者:社会保険労務士法人とよひら
担当:特定社労士・中小企業診断士 鎌田 真行
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